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ファイヤードブログ

ディジタル・パブリッシングという観点から、Webサイト制作、電子書籍制作などを。※ブログリニューアル中

バイラルサイトをネガティヴなものと印象付けた日本の悪質バイラルの罪は大きい

media

バイラルサイトは残念なのか

 日本では、バイラルサイトというと、もう完全にバカサイトというか、記事を書く能力がない人が適当にパクリ元を見つけて外注して済ませるという、しょうもないものに堕してしまった。よっぴーさんが摘発した、「悪質バイラルメディアにはどう対処すべき? BUZZNEWSをフルボッコにしてみた - Yahoo!スマホガイド」の件を見ていても、明らかに運営者の落ち度から残念なものになってしまっていることは否めない(というかこの記事が印象付けとして決定的だった)。そういうサイトがバイラルとしてみなされているのだから、一部の人は「Buzz」という文字を見ただけで拒否反応を示すこともある。
 アメリカで、バイラルを興した人たちは、決してそのような残念な人たちではなかった。Buzzfeedを作ったのは、ハフィントンポストのコ・ファウンダーであるジョナ・ペレッティ氏だし、UpworthyのCEOは『閉じこもるインターネット』のイーライ・パリサー氏だ。
 そりゃ、こういう人たちが作ったサイトに、かわいい猫の画像があったりすると、結局、大衆に迎合して、ソーシャルメディア時代にPV集めて荒稼ぎですか……とがっかりする一面もある。もしかしたら、私がこう言うのは、ただの権威論証に過ぎず、本家アメリカのも含めたバイラル全般が本当にただのバカなサイトだという可能性も否めない。けれど、このまだよく本質の見えないバイラルというものには何かしらの意味はあると思う。

バイラルの実用性

 例えば、ハフィントンポストは、ハイブラウとローブラウをあえて両方カバーすることで多くの読者を獲得した。旧来のビジネスモデルが崩れたジャーナリズム業界では、良質な調査報道等を維持するためには、浮ついた中身のない記事でも涙を飲んで扱わないといけない。損して得取れだ。
 もう一つ例を挙げる。私は次に公開する記事で、YouTubeで流行っている「10 hours walking in ...」のシリーズを扱う予定でいる。調べている最中に、「Princess Leia Gets Catcalled Walking in NYC: Street Harassment Video」というページを見つけて驚いた。内容ではなく、あのTIMEが、NEWSFEEDというカテゴリーの下にVIRALという子カテゴリーを設けて、レイア姫のパロディ動画を扱っているという事実に。しかし、ここで「TIMEも堕ちたもんだ」と思うことなかれ。実際にTIMEのサイトを訪れてみるとわかるが、ここ半年の間にリニューアルされたTIMEのウェブサイトはニュースサイトとしてのUXの特殊さも手伝って*1、ページをスクロールすると関連記事の詳細ページに知らない間に辿り着いている。このレイア姫バイラル記事の下には、例のファーガソンで起きた事件についての記事がある。こうして、バイラル記事を入り口として、シリアスな内容へ、本当に関心を持って欲しい事柄に読者を誘導しているのがわかる。

とりあえずの結論

バイラルメディアがどんなものかについては、まだ理解している人は少ない。バイラルに拒否反応を示しても良いことはない(特にコンテンツの作り手側)。ジャーナリズムのプラットフォームにパラダイムシフトが起きている今、それを利用するくらいのことを考えてもいい。TIMEの事例を見よ。

*1:おそらく技術的には、pjaxだと予想しているのですが、ここはまだ詳しく見ていません。