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ファイヤードブログ

ディジタル・パブリッシングという観点から、Webサイト制作、電子書籍制作などを。※ブログリニューアル中

EPUBおよびKDPに着手しようとしているWebデザイナーの人へ

EPUB KDP

EPUBについて

EPUB 3 電子書籍制作の教科書

EPUB 3 電子書籍制作の教科書

 EPUBについては上に掲げた本が大変わかりやすいので、それを読んでくださいというのが適切なのだろうけれど、読み方の助けになればいいと思って、いくつか述べる。

EPUBとはそもそも

 Webデザインに引きつけて言うと、XHTMLCSSXML、あとは各種メディアがひとつにまとめられてパッケージ化されたものと考えていいと思う。極論すれば、ひとつのEPUBファイルでひとつのウェブサイトと捉えられなくもない。実際に「Webサイトと電子書籍を分けて考えるなど全くナンセンスだ」と主張する人もいる(参考:『マニフェスト 本の未来』)。
 パッケージになっているから、持っているEPUBの構成を見るためには一度解凍する必要がある。プロジェクト・グーテンベルクに行って試しに『ドリアン・グレイの肖像』などをEPUB形式でダウンロードして(The Picture of Dorian Gray by Oscar Wilde - Free Ebook からDL可能)、「Stuffit Expander」というアプリを使って、解凍してみることをお勧めする。
 構成を見てみると、「META-INF」と「OEBPS」というフォルダがある。それぞれのフォルダの中のファイルについてなど、ここから先は本やネットでの情報をもとにインプットするのがいいと思う。なお、これらの構成は命名規約と共に厳格に定められている(一部を覗く)。「OEBPS」を「OMBS」などにすることはできない。 ※4/17 訂正 「OEBPS」は変更しても問題なかったようです。この辺は、書籍等で確かめてください(参照:日刊電書ちゃん 「ネットの客を書店へ」「画期的ビジネスモデルまだー?」ほか 《2015年04月16日》 - 電書ちゃんねるプラス ※リンク先で言及+紹介していただきました。以下で紹介するツールの開発者の方です。ありがとうございました)。

HTMLとCSSは役にたつか

 まず、EPUB云々の前に、「自分の持っているHTMLとCSSの知識は役に立つのか?」と思っているかもしれない。これには一応「役に立つ」と答えておきたい。ただ、電子書籍には「リフロー」と「固定レイアウト」とがあるわけだけど、小説やエッセイなどの文字が淡々と続くリフローではあんまり出る幕がないのでは、というのが今のところの私の考え。でも、HTML&CSSの知識があることが、EPUB参入の敷居の低さにつながるだろう。さらには、見出しや引用部分で、ちょっとした気を利かせることができるし、強調点を打ちたい時に自分でspanタグで囲んでスタイルを適用する、なんてことも最低限の知識がないとできない。

手持ちの文章からEPUB

 だいたいEPUBについて初めて考慮し始める時期といのは、コンテンツにあたる文章がだいたい出来上がったという頃だろう。さすがにこの生のテキストをコツコツとタグで囲んでいったり、ナビゲーションなどの必要なファイルを自分でいちからマークアップしたりするというのは現実的ではない。ここでツールを使うことになる。
 ここはけっこう人によって選択が別れるところで、例えば、ちきりんさんは MS Wordで書いてから、livedoorブログの有料サービスを使ったと書いている(参考:キンドル・ダイレクト・パブリッシング体験記録 - Chikirinの日記)。あるいはMacユーザーなら、Pagesというアプリケーションがある。これは最近Macを買った人ならプリインストールされているようだし、買うとしても値段がそんなに高くない。しかし、縦書きに対応していないという欠点がある。ここが落とし穴かも(けれど、固定レイアウトの雑誌っぽい電子本なら活躍するだろう)。他にも、Sigil(シジル)というエディターがあるみたいなんだけれど、これも縦書きがダメだったりHTML5でコーディングできなかったりと弱点がある(参考:EPUB編集ツール「Sigil」が苦境!? いったいどうなるの? - 電書ちゃんねる)。あるいは、Adobe社の製品を使える環境にある人は、InDesignなどを使う手もあるはず。

 私の場合は、有料サービスを使いたくないし、縦書きにこだわりたいし、Adobe製品を使える環境にないし、という状況だったので、「でんでんコンバーター」というものを使った。こう書いてしまうと、いかにも消極的な選択に見えてしまうかもしれないけれど、決してそんなことはない。「でんでんコンバーター」はとても優れたツールです。ふつうは、自分でEPUBを構成する諸ファイルを用意した後、パッケージングするにはアプリケーションやターミナルなどから自ら行う必要があるのだけれど、これはテキストファイルをアップロードするだけで、EPUBパッケージに必要な最低限のファイル群の用意から、パッケージングまで自動で行ってくれる。一部に独自の記述方法があるけれど、ベースがマークダウンであるため、技術的汎用性も高い。この、ツールとしての参入と離脱における障壁の低さも魅力といえる。ちなみに作ったのは、Sigilについて触れた際にリンクを紹介した、「電書ちゃんねる」の人。感謝。

表紙について

 これについては言いたいことがたくさんあって、長くなりすぎるので別記事にしようと思う。ひとつ気をつけておいて欲しいことを言うと、「サムネイルほどの大きさになってもちゃんとタイトル文字が確認できるか、あるいは、タイトルが見えないとしても、クリックさせたいほどの力がイメージにあるか」ということだ。で、後者はなかなか難しいので、前者を採用するのが無難であると思う。
 使ったツールは、Google Driveのドローイング。ただ、これでは限界があると今回思い知らされた。レイヤーのグループ化やグラデーション、あるいはフォントのアレンジができないことで、デザインが中途半端になってしまった。出来は良くない。時間的には、2、3時間でささっと済ませてしまった。自分は以前、「はじめに-第1回-/シリーズ電子出版は文章で精一杯という人のための表紙デザインパタン - Phiyard Blog」という連載をしようとしたこともあったんだけれどね。

.epubから.mobiに変換

 .mobiというのがKindleで読むためのフォーマットなんだけれど、Kindle Direct Publishingにアップロードするにあたっては、必ずしもmobiである必要はないんだ。詳しくは「Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング: Amazon の Kindle ストアでの電子出版に関するヘルプ」の一覧を見て欲しい。けれど、アップロード前に一度は実機でチェックをしておきたいから、そのために.mobiに変換することをお勧めする。Kindle PreviewerをAmazonのサイト(Amazon Kindle Direct Publishing: Get help with self-publishing your book to Amazon's Kindle Store)からダウンロードすれば、ローカルで簡単に変換できる。なお、このツール自体がひとつのプレビューツールになっていもいる。

書籍だけがコンテンツじゃない

 .mobi形式でチェックも終わって、「ああ、これであとはアップロードするだけだ」なんて、考えてしまいそうだが、ここで終わらない。それは、「内容紹介」の欄に何を書くかが残っているからだ。これはAmazonで買い物をしたことがある人ならば、何度も目にしたことがあるはず。ここには、4000字までのテキストを載せることができる。原稿用紙で10枚分、A4容姿で3、4枚というかなりの分量が許容されている。ここをうまく使わない手はない。
 私は考え込んだ結果、触れ込みの文章、冒頭エピソードからの引用、目次を載せた。これでも1000字以上の余裕があった。しかし、4000字全部使っても、全て読んでもらえるとは思わないし、うるさく感じられてしまうかもしれないので、2000字台で問題ないはずだ。

で、改めて手前が出した本は……

カフェに平気で長居する人の頭の中: 店員さんに嫌われずに集中する術 (叢書ファイヤード)

カフェに平気で長居する人の頭の中: 店員さんに嫌われずに集中する術 (叢書ファイヤード)