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ファイヤードブログ

ディジタル・パブリッシングという観点から、Webサイト制作、電子書籍制作などを。※ブログリニューアル中

男子のマジでバカなトコ☆

 似たような話題が続けて浴びせられて、身につまようじ刺される感じがしたので、いっそのこと記事にしてしまおうと思う。

 まず最初に取り上げるのは、先の記事でも引用した『デザイン思考が世界を変える』(ティム・ブラウン著 千葉敏生訳、ハヤカワノンフィクション文庫)のブレインストーミングについて書かれた項の中で触れられているエピソードだ。長くなるけれど 、該当の段落をまるまる引用させてもらう(pp.103-104、イタリック強調は本文では点強調、太字強調は引用者)。

 少し前、私たちはナイキのキッズ向け商品の開発に取り組んでいた。IDEOは熟練のおもちゃデザイナーを数多く抱えているが、時には専門のコンサルタントの手を借りるべきときもある。そこで、私たちは土曜の朝のアニメが終わるのを待って、八〜一〇歳の子どものグループをパロアルトのスタジオに招待した。まずはオレンジ・ジュースとフレンチ・トーストで子供たちを手なずけると、男の子と女の子を別々の部屋に分け、指示を与え、一時間ほど作業に取り組んでもらった。結果を集計すると、ふたつのグループの違いが明らかになった。女の子は、二〇〇を超えるアイデアを考案したのに対し、男の子は五〇個がやっとだった。この年齢の男の子は、集中したり、話を聞いたりするのが苦手だ。真のコラボレーションを行う上で、こういった能力は欠かせない。しかし、女の子は正反対だった。幸い、この違いの原因が遺伝なのか、文化規範なのか、生まれ順なのかを判断するのは私の仕事ではないが、このブレインストーミングの比較実験で明らかになったのは、他者のアイデアをもとに考える威力の真の証拠だ。男の子は、自分の考えを表明するのに夢中になるあまり、ブレインストーミングの仲間から出されたアイデアにはほとんど気を配っていなかった。一方、女の子は、こちらが促したわけでもなく、活発で、しかも連続した会話を行っていた。つまり、アイデアはすべてその前のアイデアと関連していて、次なるアイデアのジャンプ台の役割を果たしていた。女の子たちは互いに刺激し合い、その結果、よりよいアイデアへのジャンプを生み出していたのだ。 

 つまり、男の子は「俺」なんて言葉を覚える前から「俺が俺が」気質を持っているものであって、共同で意見を出し合って一番ベターな解を出せばいいような状況でも、「俺の」「僕の」意見を通すことに一生懸命になって、大きな目的に対して盲目的になってしまう、ということが報告されているわけです。
 
 次に引用するのは、社会学者の鈴木謙介さんがPodcastの中でした発言から(2015年04月26日 Part7 外伝 1)。その前にちょっとだけ補足しておくと、文脈としては昨今の自己啓発が話題になっている。会話の土台には、『日常に侵入する自己啓発』(牧野智和 著)という本があって、それをもとに次のような図式が描かれる*1
 男性的な自己啓発は「牧野くんの本の中では『卓越』って言っているんですけれど、(一言でいうと)『俺の方がスゴい』」(鈴木、19 : 20 )という傾向があるという。さらに、およそ4分後に次のような発言がなされる。
 
鈴木 例えば、新人研修でもいいですし、学生向けのグループワークでもいいですけれども、やっぱり、最初にディスカッションでは相手を否定しないことみたいなことをなんで言わないといけないかというと、卓越するための議論をしていなから、っていう。結局、誰が一番卓越した意見をを言うか競争になっちゃうんですよ。で、それは新入社員になった卒業生の話とか聞いていても思うけれど、そいつらなんで仕事で結果を出す場面でもないのに、俺の意見が一番正しい競争してんの、ただの研修じゃん。(23 : 23-)

  うーん。耳が痛い。ちなみに、「ディスカッションでは相手を否定しない」ということに関連させていうと、最近、「アメリカのNSC*2」と言われることもある、セカンドシティについて書かれた本が出た。本の表紙に書かれている「Yes, and」っていうのは、即興コメディ(インプロ)での常套句で、なんで「Yes, and」って言葉が重要かっていうと、「No,」といったら会話が止まってしまって、インプロが進展していかないから。その場その場で前提を積み重ねていくものだからね。もしかしたら、「Yes, and」は「俺が俺が」に対するアンチテーゼとして機能するかもしれない*3。 

なぜ一流の経営者は即興コメディを学ぶのか?

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  個人的には、今まで述べてきたトピックに関しては「Yes, and」だけでなく、「主体」という面からより深く考えられるのではないかと思っているので、もうちょっと哲学方面で頑張りたい。了

日常に侵入する自己啓発: 生き方・手帳術・片づけ

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デザイン思考が世界を変える (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

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*1:本当だったらちゃんとこの本にも目を通すべきなのだけれど、図書館にもなくまた勁草書房から出ている学術書なので手に入れるのも難しく、またブログゆえ厳密さが要請されないことから、その手間を省かせていただきます。悪しからず。

*2:吉本興業の方ね。

*3:とは言っても、デザインにしても即興コメディにしても、何が何でも飲み込んでやろうとする「ビジネス」の風潮には反吐がでそうになるが