読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ファイヤードブログ

ディジタル・パブリッシングという観点から、Webサイト制作、電子書籍制作などを。※ブログリニューアル中

私はいいデザインだと思った

gestaltung

 タイムリーにコメントするという凡庸な振る舞いを許していただけるのならば、東京オリンピックパラリンピック2020のエンブレムはいいデザインだと思った。

f:id:sthmdnss:20150725100745p:plain

(画像: 東京オリンピックパラリンピック2020公式エンブレム。 2020年東京五輪エンブレム発表 「TOKYO」などの「T」をイメージ(15/07/25) - YouTube よりキャプチャしたものを引用)

 自分が感銘を受けた部分は、オリンピックとパラリンピックがコンセプトとしてひとつになっていることだった。オリンピックだけ、パラリンピックだけでは、エンブレムとして不十分になってしまう。これを理解するためには、前回の東京大会の亀倉雄策氏によるデザインを参照する必要がある。

f:id:sthmdnss:20150725101340j:plain (画像: 亀倉雄策デザインのエンブレムとポスター。美術館・博物館・イベント・展覧会 [インターネットミュージアム]より引用)

 この写真の左から2番目の、スタート直後の腕を振る陸上競技選手の姿のポスターがそれだ。2020年のエンブレムの赤い部分を頭と捉えれば、1964年のデザインのスタート直後のせめぎ合う競技者たちの姿と重なる。

 これがオリンピック、パラリンピックのロゴの仕掛けとして巧みなのは、このデザインのオリンピックの方だけをピックアップして「このデザインはダサい」などという人たちのパラリンピック蔑視を、 白日のもとに晒してしまうことだ。

 このエンブレムは、できるだけ左右が対になった上で扱われて欲しいと思う。

 前回の東京大会を参照するという視座は、カキ氷もとい夏季五輪5都市目の複数開催年となる2020年の東京オリンピックでは、少しも不思議ではない。さらに、亀倉雄策という偉大なデザイナーが先人にいてはなおさらだ。

制作した佐野研二郎氏によると、意識したのは1964年東京五輪のエンブレム。太陽をイメージした故亀倉雄策氏によるデザインを気に入っていたそうで、「シンプルで簡潔で力強い。それを大切に継承しながら、新しい東京五輪をつくっていきたい思いがあった」。64年大会の成功と遺産を想起させた上で、新鮮さも感じさせる作品に仕上げた。( 時事ドットコム:前回の記憶、大切に継承=シンプルで力強い−東京五輪エンブレム )

 よく見ると、今回のエンブレムの中心を貫く長方形から連想される「T」の形が、2番目の写真の左から3番目のバタフライをする競泳選手の形から取られていることもわかる。

 と、ここまで語ってきたけれど、「ここがあれの引用でね」みたな振る舞いは野暮だし、私自身今回のロゴの図像をすべてと読み取れたわけじゃない。デザインを担当した佐野研二郎氏も上に引用した記事の中で「見る人によって、想像力が働くようなシンボルになるといい」と言っている。

 最後に、ちょっとだけ惜しいなと思うところを述べると、計算されすぎていて遊びがないように感じた。この点で前回のロンドン大会は、シンプソンズがブロージョブだなんだと言われていても、様々なヴァリエーションがあって面白かった。遊びを残しておくことは、日本の二次創作カルチャーを刺戟する。ただこれも、誰もがクリエイターになりうる時代の作家性の問題という難しい問題ではある。