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ファイヤードブログ

ディジタル・パブリッシングという観点から、Webサイト制作、電子書籍制作などを。※ブログリニューアル中

澤穂希選手、引退

澤選手がサッカー日本代表において男女含めて歴代最多得点を記録していながらも、なんだかんだ言ってニワカに過ぎぬ私からすれば、ボランチの選手として多く試合を見てきました。

FIFA女子ワールドカップ2011年ドイツ大会で得点女王を獲得したあとは、すっかり点取り屋としての印象は途絶えてしまっていましたが、一方の守備面での、抜群の読みによって冷静に相手の攻撃の芽を潰すインターセプトは、「さすがベテラン」と言うべきもので、INACの試合を放映するBSフジの実況アナ、試合会場でINACサポーター、のみならず相手チームのサポーターを何度も唸らせていたのを覚えています。私もその唸った者のひとりで、そこに30代半ばになるアスリートとしての「晩年様式」を見出し、感心していました。

「次の10番はどうするんだ。ポスト澤は誰なんだ」というようなことをいう人が出てくるでしょう。私は「ポスト澤」という表現は嫌いです。ありえないことなのに、あるかのようにマスメディアが(たとえ耳目を集めるための煽りだとしても)口にするのには耐えられません。

なぜここで、ありえないといえるのか。それは、澤選手が比類のないい開拓者だからです。もちろん、澤選手以前にもサッカー日本女子代表史はあり、高倉麻子現U-19代表監督などの澤選手よりも先に代表を牽引した選手はいます。しかし、ミシシッピ川あたりからスタートして太平洋を見るところまで一気に到達したような、そういう選手は澤選手しかいないのです。

これから先、澤選手よりも上手い選手が出てくる可能性はもちろんあります。競技人口が増えているのだから、そうでなければ困ります。しかし、その未来の逸材ですら、澤選手が切り開いていった道を通らざるを得ないわけです。ある傑出した選手が、澤選手のような偉大なプレーヤーとなり、多くのタイトルや偉業を成し遂げたとしても、そこにはだいたい「澤穂希」の名前が刻まれてしまっているわけです。

澤選手が成し遂げていないことは、個人タイトルから探すと、リーグ戦350試合出場やUEFA女子チャンピオンズリーグのMVPとか、そのくらいしか残っていないのです(もちろん、選手は表彰ばかりを目指してやっているわけではいないでしょうが)。私が「ポスト澤」がありえないといったのは、このような意味においてです(他の、個人史、代表史的な部分は『なでしこ―澤穂希の拓いた道』などに当たってみてください)。

引退の理由に関しては、年齢と体力的なもの、盟友ワンバックの引退、結婚をしたこと、後輩に席を譲ること、その他を含めた複合的なものでしょう。17日に会見があるので、そこで触れられるはずです。

ここで、私がいま若干危惧しているのは、何人かのベテラン選手たちが、後追いで引退してしまわないか、ということです。何かと「世代交代」が叫ばれるなでしこジャパンであるだけに、たとえそうなったとしても良い機会だと捉えることもできます。もしかすると、オリンピック予選を前に、澤選手がそこまで含め半ば意図的に引退を発表したとも考えられなくもないです。しかし、そうなってしまった場合、やはり寂しさを覚える気持ちの方が強くなります。

たとえこれが杞憂に過ぎなかったとしても、2011年の優勝メンバーのほとんどが現役を退いてしまうときというのは、遅かれ早かれやってきます。そのとき、2011年の優勝以後のサポーターは変わらずサポーターでいることができるでしょうか。

とりあえず私は、19日に西が丘に向かいます(きょうの報道の前にメインスタンドの前売りチケットを買っておいたことに安心したのは内緒)。