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ファイヤードブログ

ディジタル・パブリッシングという観点から、Webサイト制作、電子書籍制作などを。※ブログリニューアル中

Webデザインといふ事

デザインとしてのWebデザインは曲がり角に立っている、と考えている。なぜかというと、マルチデバイスが当たり前になったからだ。もっというと、スマートフォンによる閲覧が8、9割を超えるという事態がそれほど珍しいものではなくなってきつつある。もはやこういう環境の中では、Webデザイナーが27インチのiMacや13インチのMacBook Proでこれまでと同じようにWebサイトを作るというのは通用しない。

正直に言ってこれは耐えられない状況である。あんな小さいが面においては、デザインもへったくれもない。カラム数の選択肢も実質ワンカラム一択となってしまっていて、バリエーションの打ち出しようもない。例えるなら、フライヤーやポスターのデザインをやっていた状態から、名刺デザインだけをやらされるようなものである。しかも、紙と違って素材などの質感による差異を提供できない……というような諦念が、静かに心の底で流れていた。

デザインとしての作品性を追求すると、どうしてもこういう考えになってしまう。だけれどそれは無理だ(そもそも作品性など不毛だ)。なるほど、固定レイアウトが当たり前で、Photoshopでカンプを書き起こしていた頃は、確かに入力方法においても出力においてもグラフィックデザインとの近さがあったため、まだデザインとしての作品性を追求しえた。しかし、マルチデバイスの時代、スマホ9割時代ではもうそれは通用しない。

では、グラフィック性を省いた—あるいは、今でもまだいくらかグラフィック性は残っているがこれからさらに省かれうる—Webデザインで残る本質的な部分は何かと考えると、「ユーザーが知りたいことを調べて画面や音声を通じて知る際に、可能な限りわかりやすい形で提示する」ということではないだろうか。選挙の結果、歌番組のゲスト、映画の上映スケジュール、今日の試合結果、好きなミュージシャンの最新の投稿、試験の募集開始日、店おすすめのコースメニュー、カフェの閉店時間、残りチケットの有無……。

この観点に立った上でなら、まだWebデザインを続けられそうな気がする。のだが、

  • 8、9割がスマホなら、もうアプリとして作ってしまった方がいいのではないか(ただ、SEOとリンクの面から、ウェブサイト上に存在することの価値も十分にあるのは事実)。
  • もう5年もすればもうみんなモニターを通してブラウザなんか見ていないのではないか。

という懸念があることは認めざるをえない。

※ (筆者より)マルチデバイス対応の記事は定期的に流入やブックマークがあるので、タイポグラフィと合わせてTips系の投稿を再開しようと思います。とはいっても、このブログの流入の大部分はスタバ記事なのですが。